「金利が下がれば債券は上がる。しかも3倍のレバレッジなら夢がある!」──そんな甘い言葉につられていませんか。TMF(Direxion Daily 20+ Year Treasury Bull 3X Shares)は、米国20年以上の長期国債を”日次で”3倍に増幅するETFです。短期間の大勝も狙えますが、同じだけのリスクを抱えることを忘れてはいけません。ここでは光(メリット)と影(デメリット)の両面を整理し、ご自身の投資スタンスに合うかどうかをチェックできる内容にまとめました。
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TMFに投資する3つのメリット
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メリット① 短期間で大きなリターンを狙える
・原資産が1日で+2%動けば、理論上+6%。イベントドリブンの短期売買で効率的に資金を回転させたいトレーダーには武器になる。
・過去には利下げ期待が高まった2020年3〜7月の4カ月で約+250%を記録した例もある。
メリット② 金利低下局面で絶大な威力を発揮する
・デュレーション(債券価格の金利感応度)が長い20年超国債を3倍にしているため、利下げ局面ではレバレッジの恩恵が最大化。
・実質利回りが高水準から下がる場面では、株式より先に動くことが多く、分散先として一時的にポートフォリオを底上げできる。
メリット③ 少額からでも始められる
・1口20〜40ドル前後で購入でき、為替手数料込みでも1万円弱。
・米国株を扱う主要ネット証券(SBI・楽天・マネックスなど)なら最低手数料無料※1。
※1:実際の手数料体系は各証券会社の最新情報をご確認ください。
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見過ごしてはいけない5つのデメリット
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デメリット① 減価のリスク
・横ばい相場でも年率10〜15%のボラティリティ・ドラッグが蓄積し、保有期間が長いほど元本が削られる。
デメリット② 金利上昇局面での凄まじい下落リスク
・長期金利が+1%上がれば、原資産は▲18%前後下落することも。レバ3倍では▲50%超の一撃も珍しくない。
デメリット③ 高い経費率
・信託報酬は年率約1.05%。インデックス投資信託(0.1%前後)と比べると10倍。複利で効き、長期ではパフォーマンスを大幅に削る。
デメリット④ 長期保有に不向き
・ETF自体は無期限だが、減価と経費率が組み合わさり「塩漬け」になると回復困難。実例として2022年1月から2年間で▲80%超のドローダウン。
デメリット⑤ 精神的負担が大きい
・日々の値動きが激しく、株式市場が平穏でも▲10%を超える下落が起こりうる。損切りルールを守れなければメンタルが崩壊しやすい。
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【診断】あなたはTMFに投資すべきか?
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向いている人
・経済指標やFOMCなどイベント前後で短期売買ができる
・元本の10〜20%の変動を受け入れられる
・売買ルール(利確・損切り)を事前に数値で決めて実行できる
・日中に相場をチェックできる環境がある
向いていない人
・長期・積立・放置で資産形成したい
・価格変動より睡眠を優先したい
・投資経験が浅い、または米国ETFのしくみがまだ理解できていない
・退職金や生活防衛資金など失えない資金を投入するつもり
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まとめ
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TMFは「短期間で大きく攻める」ことに特化した投機的ETFです。
メリット(爆発力・金利低下メリット・少額参入)と、デメリット(減価・経費率・金利上昇リスク・長期不向き・精神コスト)を天秤にかけ、自分の投資スタイルにフィットするかを冷静に判断しましょう。
もし「短期集中で勝負したい」「リスクを理解した上で一部資金に限定する」と決めたら、米国ETF手数料が安く取引ツールが充実した国内ネット証券での取引が王道です。
投資は自己責任。光と影を正しく理解して、後悔のない選択をしてください。
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